CFT分析とソフト・システムズ・アプローチ
当社のコンサルティングでは、通常、戦略策定の際に一般的に活用される様々な手法に加え、「CFT分析」と「ソフト・システムズ・アプローチ」という、2つの手法を活用します。(詳細については、「成功率を高める新規事業のつくり方」(ごきげんビジネス出版)をご参照ください。)
CFT分析
事業は、C(顧客)、F(機能)、T(技術)の3軸で定義できます(デレク・F・エーベル「事業の定義」(碩学舎)。これに基づいて、自社の事業のC、F、Tを考えます。これをCFT分析と呼びます。また、C、F、Tでできる三角形で、視覚的に事業を表現したものがCFTチャートです。

[新訳]事業の定義 — 戦略計画策定の出発点
事業や競争すべき市場をどのように定義するか等、ケースを用いてその基本概念を説明した名著の新訳。
発売日:2012年2月24日
ISBN:978-4-502-69250-5
定価:3,740円
碩学舎ウェブページ
自社の事業を考える場合であっても、最初は、メンバーによってCFTが異なっていたり、あいまいだったりすることが普通です。「本当のC、F、Tは何か」をメンバー間で徹底して議論することによって、自社の本当の競争力が見えてきます。また「今後目指すべきC、F、Tは何か」を議論することで、事業の将来の方向性を考えることができます。 それによって、現実の事業環境の中で、自社の事業を先鋭化したり、自社の強みを活かした新規事業を開発することにつなげることができます。


CFTチャートの例
CFTチャートによる、既存事業から展開する新事業テーマの検討例
ソフト・システムズ・アプローチによる中期経営計画策定
問題解決の方法には、ハードシステム型とソフトシステム型があると言えます。これらの2つの方法の比較を下表に示しました。
このうち「ソフトシステム型」とは、組織や社会などの複雑な問題に対処するための方法論として、 Peter Checkland によって提唱された方法論(ソフト・システムズ・アプローチ; Soft Systems Methodology)の考え方を基に開発されたものです。

ソフトシステム方法論の思考と実践
――問題認識を共有し組織や仕組みの改善と発展に繋げる
2020年6月発売/A5判 496頁
ISBN978-4-7759-4232-1 C3055
定価 本体3,800円+税
著者 ピーター・チェックランド
訳者 高原康彦、中野文平、木嶋恭一、飯島淳一、佐藤亮、高井徹雄、出口弘、堀内正博
パンローリング株式会社ウェブページ
ハードシステム型とソフトシステム型の比較
ハードシステム型 | ソフトシステム型 | |
---|---|---|
対 象 | 構造化された問題 | 複雑で非構造的問題 |
問題状況 | 明確化された問題意識 | 漠然とした問題意識 |
対処方法 | 方程式を解くように、論理的に検討 | メンバーの思いや意志を集約 |
属 人 性 | 属人性がない | メンバーに依存 |
アウトプット | 最適解 | 実行可能解 |
- ハードシステム型:問題状況を明確に整理することが可能で、あたかも方程式を解くように、論理的に解を求める方法
- ソフトシステム型:問題状況が複雑で、方程式を解くように解を得ることができない問題に対して、問題意識を共有するメンバーで議論を重ね、全員で合意できる解を求める方法
経営が直面する問題は、多くの場合、非構造的で、簡単に解を導けないものばかりです。中期経営計画や新事業戦略などがその典型です。
これらの問題に対しては、「ソフトシステム型」が有効です。
具体的には、企業のミドルクラスのメンバー(部課⻑レベル)数名〜10 名以下程度(人数は 状況に合わせて決定)でチームを結成し、目指すべき会社の方向について本音で議論し、各メン バーの思いや意思を集約するものです。これによって、「絵に描いた餅」ではなく、実行につながる計画(実行可能解)を得ることができます。
当社のメンバーは、この手法を用いて、これまでに20社以上の企業の戦略策定を実施した実績があり、いずれも納得感のある大きな成果をあげています。


ソフトシステム型による中期経営計画策定のフロー
ミドルが主役となる計画策定